気分はすっかり「タイタニック」


■千葉県・西川名
「ジャック・・・ジャック・・・ボートよジャック!ボートが来たわジャック!」しかし凍ってしまったジャックは何も答えない・・・「あきらめないわ・・・絶対に・・・」
ジャックの手のひらにキスしてローズはジャックの手を離す。そしてジャックは冷たく、深い海の底へ沈んでいく・・・
皆さん、ご存じの映画「タイタニック」。このシーンでどれだけの恋する女の子が(男も?)泣いたことか・・・・悲しさに浸り隣で泣いている彼には失礼だが私は一人でムカついていた。バカァ!なんで沈んでいくのよ、レオちゃゃゃゃん!あんたが主役でしょう?いくら氷の海だからって、どんなに寒くたって沈んでどうすんのよ、バカ!寒いと思うから寒いんだよ、バカ・プリオ。そう私はいつも精神論を掲げて生きている。

そんな私が今回の西川名ツアーで「人の忠告は有り難く聞くモンだ」と身をもって経験してしまった。

●寒さをナメていた私
4月に入り、友達にダイビングへ誘われた。「いいッスよ」「ところでドライスーツ持ってたっけ?」「持ってないケドなんで?」「だって、それじゃあキツイよ水温15度だし・・・」「全然問題ないですよ。寒いと思うから寒いんですよ。人間すべては気分次第ですから」「でも・・・」と心配する友人。去年の7月、オープンウォターの資格を取った私。夏は鹿嶋で鍛えぬき、季節が変わった9・12・3月はサイパンでしかダイビングをしたことのない私にとって、ダイビングで寒い思いをしたことなんて一回もない。いくら寒いって言ったってたかが知れてるわ。

●館山ってリゾート地なのね
千葉県の先っぽ館山市の西川名までは2時間半で到着。普段のみんなの心がけがとてもよろしいので天気はものすごい快晴。半袖でふらふらしていても全然ヘッチャラなぐらい、太陽はサンサンと降り注ぎ、すっかり春なのね〜の陽気。海水はとてもキレイなブルーで美しい。西川名のショップ【オーシャンパーク】は目の前が海で、お庭には大人6名は余裕で入れる温水プールがあり、3階のベランダからは太平洋を見渡しながら、ゆったりビールが飲めるビーチチェアーが並んでたりして、リゾート気分を掻き立たせてくれて【すげ〜いいんじゃない】って感じ。

●さぁ!出発なのだ
ツアー参加者は11人、みんな宇宙人のような格好をしている(※ドライスーツ)靴下もはいてるしジャージも着てる。私と他1名だけがウエットスーツ。こんなに暖かいのに、どうしてみんなウェットスーツにしないんだろ・・・大体オシッコしたくなったら我慢しなくちゃダメじゃん。なんて思いながら着替え、よし!さっそくボートで海に行くゼ。ポイントまではすぐそこ、ボートに乗るのはほんの5分弱。良かった・ゲロ吐かなくても済みそう・・・

●そして恐るべし体験が・・・
いざ海の中へ。すると突然私の肌に味わったことのない拒否反応が。「えっウソでしょ?何なのこの冷たい水は・・・」入ってすぐ、カキ氷食べた時のツーンとくる頭の痛み。背中からもブーツの中にも入ってくる冷水「ちょっとぉぉぉこんな冷たい海に何分潜れるの?あっもう止めよう、止めよう、上がろう」振り返ると、後からみんながどんどん潜ってきて引き返せない。それにあんなに偉そうに「寒いと思うから寒いんですよ」なんて言い放ったくせに今更止めるとも言いづらい。そう人間すべては気分次第。暖かいと思えば大丈夫。

●さすが、開き直りは早い
気持ちを切り替えて下へ進む。海の中はそんなに流れも無く、透明度も鹿嶋と比べりゃ抜群にナイス。ビックリするくらい大きな魚(モロコ)が悠々と泳いでる。「すげ〜あの魚、刺身にしたら何人分だ?でも全部刺身にしたら飽きるから、半身は焼こう。でも煮ても美味しいかもね。」なんて思いながらどんどん進む。まっ、またしても大きな魚。今度はシマアジじゃん。こんな大きいのが釣り糸にかかったら大興奮だよ。 「西川名は大物は外さないから楽しいよ」といろんな人に言われてたケド、ホントに大きな魚が簡単に近くで見れちゃう。かなり楽しい・・・

●だけど意志は弱い
しか〜し楽しいのもつかの間、潜行してから10分ほどで忘れたハズの寒さがまたやってきた。そりゃそうよね、ただいまの水温14度。お魚ちゃんなんてどうでもいい。キレイな海もどうでもいい。唇は感覚が無くなり、泳げば泳ぐほど冷たい水が入ってくるから動きたくない。でもジッとしてたら凍ってしまう・・・氷の海に投げ出されたジャックは(ここら辺からやっと人の痛みがわかってきた、気分はもうタイタニック)私以上に寒かったに違いない。バカ・プリオなんて言ったことを後悔する。OH〜お願い、神様。私は事務所に帰っても山ほど仕事があるのです。今すぐここから脱出させ、ショップの温水プールに入れて下さい。と心からお祈りした。すると神原さんが「寒いか?」と聞いてくれた。「OH〜神様ありがとう!ざぶい、ざぶい、ざぶいッス」やったぁこれであの温泉プールに入れる。私は助かったのだ。

●奇跡の生還。だか、しかし・・・
ショップの温水プールで体の芯から温まり、みんなの同情をかいながら【みんなありがとよ〜人の忠告は聞くもんだぜ】と久しぶりに反省。2本目は絶対に行かないと心に決め、プールでいつまでも生還した喜びをかみしめていた。
・・・しかし、何故だ・・・私はまたしてもボートに乗り、しかもマスクに、くもり止めなんかをして今まさに氷の海に再び入る体勢・・・どうして?かっこいいあの男にもう一度会いたかったから?違う!私はそんなに飢えてない!

●ダイビングツアーを終えて
ダイビングツアーの楽しいところは、みんなでその時、同じ時間に同じ体験をできるということにあるのかもね。普段あまり関わりをもつことのできない人達とダイビングを通して、一緒に何かを感じられるっていうのは貴重な事です。
もうじき夏がやって来るし、皆さんも今年こそダイビングを始めてみてはいかがですか?初めて見る海の世界は信じられないくらいの感動です。きっと私は一生の趣味としてダイビングと関わっていくんだろうなぁ。